先日、営業現場から印象的な話を聞きました。
長年、ある顧客のシステムで標準採用されていた製品が、コストダウンを理由に競合製品へ切り替わったという話です。
失注そのものも痛手ですが、本当に大きな問題はその先にあります。
今回の採用によって、競合製品が顧客の標準選定リストへ登録されました。
つまり、次回以降の案件では「競合がいる状態」が当たり前になります。
一度標準から外れると、元のポジションを取り戻すのは容易ではありません。
営業現場では、
「もう少し早く対応できていれば」
という声が聞かれました。
この話を聞いて改めて感じたのは、競争相手は必ずしも競合企業だけではないということです。
場合によっては、
最大の競争相手は『時間』なのかもしれません。
なぜスピードが重要なのか
BtoB市場では、性能や品質だけで採用が決まるわけではありません。
顧客が求めるタイミングで提案できるか。
必要な仕様を必要な時期に提供できるか。
この要素が採用結果を大きく左右します。
特にインフラやプラント市場では、一度採用されると実績が蓄積され、標準仕様や設計基準に組み込まれます。
逆に言えば、開発や製品化が遅れることで、そのポジションを競合に先に取られてしまう可能性があります。
求められるのは「完璧な開発」だけではない
もちろん品質は重要です。
安全性や信頼性を犠牲にするべきではありません。
一方で、変化の速い市場では、最初から100点満点の製品を目指すだけでは機会損失を招く場合があります。
近年注目されているリーンスタートアップやアジャイル開発の考え方も、
「完璧な計画を作ること」
ではなく、
「早く市場に出し、早く学び、早く改善すること」
を重視しています。
製造業にそのまま適用することは難しいかもしれません。
しかし、
・小さく試す
・早く顧客の反応を見る
・優先順位を見直す
という考え方は参考になるのではないでしょうか。
まとめ
開発の遅れは単なる発売時期の問題ではありません。
市場シェアや標準ポジション、将来の競争環境そのものに影響を与えます。
商品企画や事業企画の立場から見ると、重要なのは「より良い製品を作ること」だけではなく、「市場が求めるタイミングで価値を届けること」です。
これからの時代は、品質・性能・コストに加えて、
『スピード』そのものが競争力になる。
そんなことを改めて考えさせられた出来事でした。

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