失注理由の「価格が高い」で終わらせない。次につながる確認方法
「今回は価格が合いませんでした」
商談の結果を聞いて、失注理由に「価格」と記録する。
そこから、「もっと安くしよう」「もっと価値を伝えよう」と考えることがあります。
ただ、その前に確認したいことがあります。
何と比べて、高かったのでしょうか。
予算を超えていたのか。
競合より高かったのか。
今は買わずに済ませるほうがよかったのか。
同じ「価格が高い」でも、判断の背景が違えば、次の打ち手も変わります。
■「価格が原因ではない」とも決めつけない
失注を振り返るとき、「本当の原因は価値が伝わっていないことだ」と考える場合があります。
確かに、説明や提案に改善の余地があるかもしれません。
一方で、本当に予算を超えていたり、必要な性能に対して自社商品が高すぎたりする場合もあります。
顧客の言葉をそのまま一つの原因にまとめることも、別の原因に置き換えることも、確認なしではできません。
まずは、何が分かっていて、何が分かっていないかを整理します。
■①予算と比べて高かったのか
説明用の架空例です。
工場向けの装置を提案したところ、顧客の予算を超えてしまったとします。
自社の装置は高性能ですが、顧客は最低限の作業ができれば十分だと考えていました。
この場合、高性能の説明を増やしても、必要性や予算の問題は残ります。
確認したいのは、例えば次です。
・必要な性能はどこまでか
・必須ではない仕様を含めていないか
・予算は今回の提案範囲全体に対するものか
・導入時期や支払い条件も判断に関係したか
条件によっては、仕様を絞った商品や別の提案が合うかもしれません。
自社が支援しやすい顧客層と、今回の相手が合っていたかを見直すことも必要です。
■②競合と比べて高かったのか
競合より見積金額が高かった場合も、まずは比較する範囲を確かめます。
こちらには設置、教育、保守が含まれ、相手の見積もりでは別料金かもしれません。
反対に、顧客が必要としていないサービスを自社だけが含めている可能性もあります。
確認するのは、単純な金額差だけではありません。
・機能や性能
・設置や初期設定
・教育やサポート
・消耗品や保守
・納期や保証条件
これらの範囲が同じかを確認します。
競合の見積書を無理に求める必要はありません。話せる範囲で、何を比較して判断したかを教えてもらいます。
同じ条件でも自社の価格が高く、その差を顧客が必要としていなかったなら、価格や商品構成を見直す材料になります。
■③買わずに済ませる選択と比べて高かったのか
競合商品が選ばれたとは限りません。
今ある設備を使い続ける。
手作業を続ける。
導入そのものを先送りする。
こうした結果もあります。
その場合は、「他社に負けた」と「購入を見送った」を分けて記録します。
導入を見送った背景には、困りごとの小ささだけでなく、予算凍結、担当者の異動、設置場所の問題などがあるかもしれません。
「必要性を伝えれば売れたはず」と考える前に、今回の判断に何が影響したかを確かめます。
■顧客に聞くときは、答えを先に置かない
「価値が伝わらなかったんですよね」
「もう少し安ければ採用されましたか」
こうした聞き方では、こちらが考えた原因に話を寄せてしまうことがあります。
まずは、相手の言葉で話してもらいます。
「今回、どのような点を重視して判断されましたか」
そのうえで、必要に応じて確認します。
「価格は、予算や他の選択肢と比べて、どのように影響しましたか」
「最終的には、別の商品を選ばれましたか。それとも導入を見送られましたか」
答えてもらえなかった項目は、未確認として残します。
振り返りの目的は、顧客の判断を論破することではありません。次の改善に必要な情報を得ることです。
■記録は「聞いたこと・見立て・未確認」を分ける
例えば、次のように整理します。
【顧客から聞いたこと】
「今回は予算に収まらなかった」
【営業側の見立て】
設置費を含めた提案範囲が合わなかった可能性がある。
【未確認】
予算の対象範囲、最終的に選んだ方法。
こうして分けると、営業の見立てを、確認済みの失注原因として扱わずに済みます。
また、発言した人と、その人の役割も分かる範囲で残します。窓口担当者の説明だけで、購買側の判断全体を把握できたとは限らないためです。
■一件の失注から、すぐに商品を変えない
一件の声は、改善のきっかけになります。
ただし、その声だけで、全商品の値下げや機能追加を決める必要はありません。
同じ用途や顧客層でも、似た理由が続いているかを確認します。
受注した案件では、何が評価されたのかも比べます。
顧客層、用途、提案範囲、競合、購入見送りを分けて見ることで、どこを改善すべきか考えやすくなります。
■今日の実践
最近の失注を一件選び、次の三つを書いてください。
1.顧客から実際に聞いた言葉
2.何と比べて高かったか
3.次に確認したい質問
分からない項目は、未確認で構いません。
「価格で失注」という記録に、一つ具体的な質問を加える。
そこから、値付け、商品構成、提案、ターゲットを見直すための調査が始まります。
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